何が彼女に起こったか
「オールダベリーの真相」

記述調書

あの「オールダベリーの舞台裏」では、いったい何が起こっていたのでしょうか。
上演中の事件についての供述です。





大道具 by 仕込担当

大道具を作る。
というか、大道具といえるのか?
客席に作られた目隠し壁が一枚だけ。
ま、庭から台所へ行くラティス2枚と、
テラスと室内を分けた透明な板(?)も入れれば、5カ所だけど。
『罠』の時に使ったラティスを使い、某三原塾からもらってきた
黒布張りのボードにちょこっと脚をつけて終わり。
一番時間がかかったのが、お客様に見えたがどうかわからないけど、
透明なプラスチックの板に小割を張って、舞台に垂直に立てた部屋の壁。
すべて、多田の制作です。
思いつきだけで進んでしまう、はるさんは、材料の入手についていっただけでした。

本当に困ったのは、客席途中の扉からの出入り。
外は楽屋の廊下なので、明るいこと明るいこと。
で、黒幕で目隠しをしたいんだけど、布だとかなり重くて、止められない。
で、黒のビニール幕を探したが、売ってない。
「そうだ、園芸用だよ! ほら、畑に敷いてあるじゃん」 島忠で騒ぎまくって、見つけたそれは……
丸〜い穴が2列開いていた、均等に、同じ大きさで。そこに種をまくんだそうだ。
穴が開いてちゃ、光は漏れるわな……
最終的に使ったのは、ただの黒いゴミ袋。
ガムテでつないで、止めました。しか〜し!
なんで本番前にあんなに破れるかなあ〜!
無理矢理出入りするなよな、多田が一生懸命作ったんだから!
たとえ一枚5円のゴミ袋でもさ!




小道具との出会い by 座長

今回、困ったのは、やたら出てくるテーブル・机・椅子。
大体さあ、一幕だけで、本当だったら、事務所2カ所、
ホテルのリビングルーム、屋根裏部屋にレストラン。
事務机だの、肘掛け椅子だの、酒瓶の詰まった飾り棚だの、本で埋まった壁だの、
アルコーブに作りつけの椅子だの、袖木のソケットに差された電気ポットだの……
どれだけ省略できるかがポイントでした。
しかし、どれだけ省略しても、出てこざるを得ないものがある。
一幕一場の弁護士事務所の机。
二幕のエイミアスが絵を描くためのイーゼル、ノルウェーの彫刻家の作った作品……
いかにしてそれらを手に入れたか!
ここにドラマがある。


イーゼル ……画材店に買いに行った制作が、何も買わずに帰ってきた。
「だって一万円じゃ買えないんだもん」
そうか、よし、わかった。と、出かけていった座長は、意気揚々と帰ってきた。
「マルエツの掲示板に出してきた」おい、大丈夫か。
そして、その翌日、掛かってきたね、携帯に!
「イーゼルありますけど……」即、走ったおせんちゃん。
「友達の家だった」で、五千円でゲット!
ただし、これがくせ者で、実は、絵を描くためのものじゃなくて、展示するためのものだったらしい。
力が掛かると脚が開いてしまう。
Qちゃんの工夫でどうにかとまったのだが……
本番最中、ウチの破壊大魔王、さおりんのぶっ飛ばしにあって、あえなくクラッシュ!
その顛末については、22日のマチネをご覧の皆様にはよくおわかりのはず。
その後の舞台ではガムテぐるぐるの痛々しい姿をさらすことになった。


頭像 ……「お気に召した、その頭像。ノルウェーの彫刻家の作品なの」
エルザの爆弾発言のきっかけとなる彫刻だけど、さすがにこれはない。
代替品を探していたけど、どうにも見つからない。
ここでまたQちゃん登場! 「ウチの兄が昔……」
で、持ってきてくれたのが、紙粘土と金網で作られた顔の塑像。
これがまた趣がある。
しかし、軽い!紙だからね……
で、多田と二人でスプレー買って、制作兼小道具係兼使いっぱのレイコがシュ〜!
外は雨、そーっと女子トイレに入って……そーっとシュウ……でも、臭いは漏れる!
「誰だ!シンナーやってるのは!」済みません、館長、ウチです……でも、ただのラッカーだよ…… 
「一言断って欲しいね、危ないでしょ!火気厳禁!」
……はい


真鍮の天秤 ……本当は二幕に使うはずだった!
でも、みつがとても気に入ったからジャスティンの机の上に……。
これとの出会いは、雨の原宿……。
マツザカとレイコは、小道具のティーセットを買いに行っていた。
お目当てのティーセットはさくさく買えたが、衣装の橘に言われた黒のズボンがない。
だって、ひどいんだよ、その日に限ってシカゴが休みなんだもん!
その日一日だけ!改装中だなんて!
で、少し落ち込んだマツザカは、ジャニーズショップのお向かいにある
小さなスーベニアショップへ入っちゃった。
ここはお気に入りの店。

で、出会ったんだよね、この天秤に。
レイコはその隣にあったろうそく立てがいい、と言って、これを二幕で使う、と決定。
「このローソク立て、いくらですか」「2800円です」
「……あの、これは(と天秤を指さす、マツザカ)」
「それは、いい!(却下するレイコ。店員さんに)こっちだけ」
「でもさぁ」「(未練がましいはるさんに店員が)1900円です」
「え、こっちの方が安いんですか!」と勢いづくマツザカ。
「ねえ、こっちの方が安いんだって」
「どこに使うの!」
「やっぱ、ほら、天秤って言うと正義というか、
最後の審判って言うか、その、ほら、ずっと使えると思うし。」
「……欲しいのね」「うんっ」「……これもください」
とにかく、みつが気に入ったからいいじゃない、ね、レイコ


「でも、小道具、予算オーバーしたけど、はるちゃん?」 by レイコ




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