同時進行Howdunit
喫茶ワイルダーのできるまで2


レポーター 座長


座付宣伝部員 松坂健が全く更新しないので、わたしが書く!
こっちでは、劇団内部の「どのような形で芝居を作っていくか」を報告します。
それでは、芝居がどんなプロセスを経て出来上がっていくか、
フーダニット(誰がやったか)ならぬハウダニット(どうなったか)の始まり、始まり。



どこからはじめよう

初めに本読みありき。
まず、本読みです。
ウチがちょっと違うのは、まったく感情を入れずに読むってこと。
そしてこの段階で、「与えられた状況」の分析もします。
つまり、どこで、誰が何をしているのか、何をしたいのか。
時間、相手役との関係……
台本に書かれている通りに、作者が書いている通りに舞台設定をしていきます。
但し、性格付けとかはやりません。
この段階がすごく長い。
みんな早く読み合わせがしたいし、立ちたいし、動きたくなります。
でも、ガマン、ガマン。



コーヒー

ウチの売りは嘘をつかないこと。
したがって、喫茶店ではコーヒーを淹れる。
とにかく、おいしそうにコーヒーを淹れてね、とマスターにお願い。
したがって、小道具も本物。
で、「薬」をどうするかで悩むことになる。
「まさか、本物使えないでしょう?」と、小道具係。
「う〜ん、でも、ちゃんと薬包を開けて、入れたいんだよね」
「中身は?」
「青酸カリ?冗談よ、冗談。ブドウ糖でいいや」
稽古から本物を使う、という方針で、私たちは毎日おいしいコーヒーを飲んでます。



交流

さあて、いよいよ読み合わせです。
まず、俳優に求められるのは、「自分であること」。
絶対に抽象的な「マスター」だったり「ウェイトレス」であったりしないこと。
自分がこの店をやっていたら、どうしたいのか、どんな店にしたいのか。
そこから始まります。
そして、相手役と交流しながら、セリフを喋ります。
これが難しい。
相手は抽象的なマスターでもウェイトレスでもなく、目の前にいる俳優個人です。
相手をしっかりと認識して、相手がどんな気持ちでいるのかを感じ、
自分が何を伝えたいのかをしっかりイメージしてから、言葉にします。
1ページ読むのに10分以上かかることだってあります。
でも、結構おもしろいんですよ。



日記

7月20日岩井海岸の御目井戸荘へ出発。
電車組といのやんの車の2班編制。
車はちょっぴり渋滞に巻き込まれ、ついたのは3時だった。
宿の方では「劇団」が来るというので、プロの劇団だと思って張り切っていた。
ごめんなさい、こんなので……
早速、3時45分から稽古、稽古、稽古。
ナント、稽古場に用意されていた部屋がもうぴったりのお部屋。
しかもおあつらえ向きのテーブル、椅子、衝立、と、
やる気を起こさせるに十分すぎるシチュエーションです。
夜はやっぱり酒盛りでしょう。わたしは寝たけどね。

7月21日御目井戸荘の朝は早い、て言うか、寝てなかったのか?とにかく、朝ご飯を食べる。
いや、実に充実している。
ひまを見つけてはダイレクトメールを書いている栄。
どこに出すんだって?高校?
夏休みに入ってないか?と突っ込みながら、わたしもダイレクトメールを書く。
稽古が終わらなくて、昼ご飯がずれ込む。ごめんなさい、カレーがさめちゃったね。
そして、また稽古。
飽きてきたので、新しい手を考える。
マスターとウェイトレスの裏の場面、つまり、台本にない日常をやってもらう。おもしろかったね。
稽古のたびにポットにお湯を貰い、バケツに余ったコーヒーとコーヒー滓を捨て、
冷めてしまった薄いコーヒーを飲む。
しかし、何をやってるんだろう、と怪しまれてなかっただろうか。

夜、ビールを飲んでいたはるさんが突然、「☆が見たい!」とわめいて、庭に出る。
酔ってるはるさんは怖い。お目付役がついてくる。
庭だけ、庭だけ、と寝巻きで出たくせに、いつの間にか「☆〜っ」と言いながら、道路を歩いている。
そのまま砂浜まで直行。
着いたとたんに、う〜んと背伸びをして、空を見上げると、次の瞬間「帰るっ!」と回れ右。
さっさと帰り始めてしまった。
ついていけない団員は、あわてて帰り始める。
「いのやんがいないぞ〜!」遠くで叫んでいるはるさんに青ざめたいのやんでした。
「ここは住宅地です……、あの、いま、真夜中です……」



最新の情報

本日、初日。
若竹夫妻も来訪。
思ったよりもたくさんのお客さんで、とても嬉しかったです。




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